葡萄たちが熟し始めるとき

Cuando la uva comienza su madurez

「エンベロ」という言葉は、葡萄が熟し始めた頃の状態を意味します。この頃、葡萄の実は、甘さがいっそう増し、その色を変えていきます。一日にして、白ワイン用の葡萄は薄い黄色に、赤ワイン用の葡萄は青みがかった紫色に変化します。葡萄のひと粒ひと粒の中で、葉緑素の働きが活発でなくなり、いよいよ熟成の段階へと入ります。葡萄の房には水分が蓄えられて弾力性が増し、アルバリーニョ種葡萄の特徴である艶のある金色がかった薄い黄色になります。

ふつう、このような現象が見られるのは、8月の太陽のおかげです。ギラギラと大地を焼き尽くすほどの真夏の太陽光線により、葡萄畑は色付き始め、何とも言えず美しい様相を醸し出すようなります。夏の終りに近くなると、大自然は、このような光景の変化をもたらし、はち切れそうになるまで大きく育った葡萄の房は、幾重にも重なった葉と葉の間から誇らしげに顔を覗かせています。そして、その弾力性のある実は、何日か前までは硬い青い粒だったと思えないほど、香りの高い甘さを含んだ汁を包み込んでいます。

「マル・デ・エンベロ」というワイナリーの名前について

ワイン醸造家のマーニョ・モレイラは、ガリシア州の大西洋岸にあるワイン原産地リアス・バイシャスで、この地方のワインについて研究していました。特に、オ・ロサルという副産地で作られるアルバリーニョ葡萄のワインに興味を持っていました。ある日、この辺りを散策していると、何とも言えない美しい景色に出会いました。大西洋に沿って作られている葡萄畑が、緩やかな起伏のある丘に延々と続いていました。葡萄の葉が無数に重なって、潮風に吹かれて波打ちながら海に流れ込んでいく様子は、まるで葡萄畑で作られた海原でした。この光景は、葡萄の葉も大きく育ち、その実が薄い黄色から金茶色に変化する8月に見られます。「マル・デ・エンベロ」、つまり、「熟した葡萄色の海」という名前は、マーニョ・モレイラが目にしたこの光景からきています。